Yuya Uzu

禅とは何であるか、また逆に何でないのかが様々な側面から述べられる。著者も述べている通り、禅の何たるかを文章のみで捉えることは不可能なのだろう。しかし、禅が真理の追求に取り組む際の「姿勢」を理解することは本書で十分に可能である。以下、それが端的に示された箇所の引用である。

「禅は、仏教の精神もしくは真髄を相伝するという仏教の一派であって、その真髄とは、仏陀が成就した悟りを体験することにある。したがって禅は、ブッダがその長年の遊行の間に説いた教示、もしくは説法にただ盲従することを拒む。」

「人生の根本的問題は、主客を分つものであってはならぬ。問いは知性的に起こされるのであるが、答えは体験的でなくてはならぬ。なぜならば、知性の性質として、知性上の答えは必ず次から次と問いを呼び求め、最後の答えに辿り着くことがない。」

「禅はその重点を、我々の意識の奥深くに隠されている内なる真理を、直感的に把握することにおく・・・それは自己の中から出てきたり、自己の中に育ち、自己の存在と一つにならねばならぬ。他のもの、すなわち思想や表象がなし得ることは、真理がどこにあるかを指し示すことである。」

Hondana

禅

By Daisetz Teitaro Suzuki, 鈴木大拙

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